embracing solitude

diary

I am one who takes small pleasure in a day in reading a book at the end of the day.

1日の終わりに本を読むことをささやかな喜びとして生きています。

  • 20260219 | 拙い語りの中に

    重要な案件があり、久しぶりにスーツを着る。こんなに窮屈だったのだろうか。やはりもう戻れないな、と直感。サイズ的にも、気持ち的にも。 スーツを纏いながら8名でひとつのテーブルを囲み、話をした。スーツのせいか、わたしもいつもより固くなっている。 会話の中で、ある人が、ある問いに対して、答えた。その人の言葉は小さな声ではあったが、時間をかけて、大きく迂回しながら、自分から見えている世界とそのディテールを語り、問いに答えようとしていた。 MECEにまとめあり、抽象度を上げてポイントを3つにまとめて整理したり、最短距離を走るための言葉選びをしたりはしなかった。 (滅多に会えない人との、非常に限られた時間の中でのアポイントだったので、私はそのとき、喉から手が出るほど、そうしたかった…) しかし、少し時間をおいて振り返ってみると、あの語りには、その人にしか見えない景色、その人にしか紡げない言葉でできていて、むしろあれ以上の回答はないと思いはじめた。 そこには、何の作為もなかった。語り手の日々、語り手の眼差しだけが差し出されていた。 * 高階杞一「早く家へ帰りたい」(2019)を読む。こんなにもページを読むことに緊張し、心の痛んだ詩集はない。

  • 20260218 | 器

    大切に使っていた安藤由香さんのマグカップの取っ手が、突然壊れてしまった。毎年、少しずつ作家さんの器を購入し、毎年少しずつこうして減っていく。物には必ず終わりがある。これも含めて器の美しさなのだろうか。 * 午前は、自分のためだけの時間を過ごす。昔読んだ本を3冊読み返す。こんな大切なことが書いてあったんだ、という驚きと共に、大事なところを書きとめておく。自分の記憶の曖昧さのために。そしてこの言葉が必要になるかもしれない自分のために。 * 今日は新たに「積読はビオトープ」という言葉に出会った。ビオトープはあるがままの自然を指し、川、森、池、海など生物が共存した生態系空間を意味する。学校や家庭などで人工的に作られる生育空間も広義な意味でビオトープと呼ばるらしい。 人工のビオトープの目的は、個人のそれとは別にして、多様性保全や自然との触れ合いにある。そう考えれば、積読がかもす空間はビオトープと言うに相応しいかもしれないな、と思ってしまった。 本は自分とは異なる時代、異なる文化、異なる価値観を持った本との触れ合いであったりするから。本の保有はその保全にあたる。 積読によって、わたしはある種の生態系の中で生きている、ということらしい。 いずれにせよ、この新しき言葉に心が軽くなった気がする。もちろんを本を本たらしめるものは読書に他ならず、本は読まれることを待っているのだけれど。

  • 20260217 | 友人とご飯

    仕事で神楽坂へ。プレゼン資料を作りながら、移動するという強行スケジュール。アポイントメントのギリギリまで資料を詰めて完成。プレゼンも出し切った。ここまでやれば、結果を相手に委ねきれる。 その後、一緒に行った同僚とコーヒーを一杯飲む。滅多にない機会でもあるので、色々と話を聞かせてもらった。 人の話を聴くことは、面白い。相手の話を受けて、たまに自分の考えていることを差し込んでしまうが、いつか自分の存在を消してただただ耳を傾けることができたらいいなと思う。 * 同僚とは現地で解散し、わたしは神楽坂から三田へ移動。美味しい食べ物が大好きな友人と2人で夕食。 旬の素材を扱いつつ、食べたことのないような組み合わせの料理たち。とても美味しい。心の滋養といったらいいか、こうした時間があるから、日々のままならなさが帳消しななるとは言わないまでも、鎮痛剤として機能してくれる。 料理だけでなく、大将の人柄の柔らかさ、挙動の凛々しさ、そして内に強さを纏っているように感じられ、とても素敵だなと思った。素晴らしいお店を教えてもらった。 ままならない日々の間に挟まれた、暖かい時間だった。心許せる友人との時間は、何ものにも変え難いと改めて思う。

  • 20260216 | 友人の気遣い

    今日は夕方まで家でゆっくり過ごす。本の面白いの褒め言葉を知った。 Page-turner: 意味: 展開が速く、非常に面白い小説や本。 用法: “This book is a real page-turner.”(この本は本当に読み出したら止められない)。 いい表現だなぁ、と。 久しぶりにJónsi & Alex Somers「Riceboy Sleep」(2009)を引っ張り出し、聴きながら本を読む。 夜は久しぶりに外食。神保町で友人と待ち合わせ。わたしが本を好きだと知ってくれていて、わざわざ作家さんたちが通うというお店に連れて行ってくれた。そうした心遣いが嬉しいと思う。 2人で瓶ビールを分け合う。 その後、友人とZornのライブを観に行った。客演に昔の友達が出てくる。ほんの数メートル先のステージ上の友人。観客席からそれを見つめるわたし。 とても不思議な感覚だった。

  • 20260215 | 今の自分にはちょうどいい

    西尾勝彦「歩きながらはじまること」(2018)を読んだ。この詩集は同じく詩人の長田弘さんに通じる何かを感じた。 読後にいい詩集を読んだなぁ、というしみじみとしたでも確かな感触がある。 今のわたしのコンディションには詩が持つ余白が心地よい。今日は一日を通じてとても暖かい日だった。

  • 20260214 | ハイコンテクストな打ち合わせ

    夜、仕事で大事な会議に参加し、立場の異なる三者間での意見交換を行う。それぞれが難しい立場を担っているため、言葉に含みを持たせた対話が行き交う。 間接的な言い回しで時にリスクを避け、時に牽制するというハイコンテクストの会議体。こうした場での言葉の選び方から始まる空気の作り方、議論の形成の仕方は、緊張感に溢れるものになる。 ただ誰もがこの場を形式的な場としては捉えておらず、前を見据え、出口を模索しているぬので、わたしはそこに敬意を払いたい。 こうしたバランスどりが必要な打ち合わせの意味を理解はできるようになったかな。予め予定した時間を超過してしまい、会議を終えた後の疲労感といったらなかった。 帰宅後は何かする力が残らず。

  • 20260213 | アウトプットとインプット

    複数人の方を迎え入れてプレゼン。わたしはわたしが伝えたいことをつあえきれただろうか。いやむしろ、あるいは相手が求ることに、応えられただろうか。 プレゼントは言え、少し喋りすぎたきらいがある。何もプレゼンは伝えることだけが、主たる目的ではない。きっと知ってもらい、知ること。つまり、わかりあうことだ。 それはすなわち、アウトプットとインプットについて思いを馳せた日でもある。特に、アウトプットは同時にインプットを孕んでいるということを実感した日。逆はその限りではない感覚がある。 プレゼンが終わった後に、相手のことをもっと知っている状態が作れたら、いいな。今日は、表現の日が、学びの日になった一日。

  • 20260212 | 音楽の喜び

    色々あった一日だったが、夜に聴いたFumitake Tamuraの新作で悦びに満たされる。一曲だけ先行配信されたSaul Williamsのポエトリーリーディングが乗った「Resonance」というトラック。 武満徹「音、沈黙と測りあえるほどに」 (1971年)がインスピレーションになっている作品。

  • 20260211 | かけないひび

    2時間にわたる打ち合わせ。今をこなすため、ではなく未来を作るための良い打ち合わせができたと思う。 今日で5日間の出張を終える。帰りの新幹線でslackやメールがの処理をひと通り終え、橋本亮二さんの「かけないひび」(2024)を読む。 今回の出張に持ち出してきたお守りのような本たちの最後の一冊。「かけないひび」を「書けない日々」だと思っていた。読んでいて「欠けない日々」と意味が隠れていたのだとようやく思い至る。 宮城県仙台市に「曲線」というわたしの好きな本屋さんがある。その店主が周年の日のみ更新するnoteがあるのだけれど、「かけないひび」にわたしの好きな文章が掲載されていて驚いた。 魂が震えるような文章なのでここにも残したい。 ひとつのことに気がつくと次第に視界が開けていき、微細な部分が見えてくる。ここは、いつか来たことがある場所だ。失くしていた感情、忘れていた出来事が目の前を駆け巡る。わたしは思い出す。壊れそうなくらいに膨らんだ想いを、修復できないほどに傷ついたこころを、いなくなってしまった人を、変わらない笑顔を。いつか消えてしまうそのすべてを、わたしはこの部屋で思い出し、そしてまたここに置いていく。 曲線「Empty, Save Rooms 」 2024年9月9日 最寄駅からの帰り道、手話で話している人たちとすれ違った。腕の可動域の広さとそのダイナミックな動きを見て、手話とはむしろ雄弁な言語なのかもしれない、と思った。身体の動きから強い意思表示のようなものを感じてしまった。 自宅に戻ってからは荷物を整理し、5日ぶりにランニング。走れなかった分、ランニングによる身体の疲れが取れたようで、思いの外タイムが良かった。

  • 20260210 | 涙が出るほど笑う

    日中はドタバタと打ち合わせをこなす。そのうち一件は、本来の目的から脱線し、話が思わぬ方向へと転がっていった。でも、涙が出るほど笑ってしまう打ち合わせになった。 夜、ヒガクレ荘で購入した橋本亮二さんの「音と言葉の日々」(2023)を読む。本はもとより、音楽が好きなんだなぁ、とじんわり伝わってくる。 本書を買ったきっかけはパラパラとページをめくった際にTHA BLUE HERBの文が目に止まったことによる。せっかくだから、本作の中に登場するアーティストを聴きながら読んでみた。 読めてよかった。なお、装丁は小林紗織さん。そうしたことも含めて著者が運営する個人出版レーベルの十七時退勤舎、素敵だなと思う。